TETSUYA KUSU Photography

Issued by one Japanese photographer from the world's end.

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写真展『THE LATEST LAND IN AFRICA』を終えて

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写真展という行為は自分にとって一体何なんだろうか?

年内のロケも終わり、来年、すなわち2010年の抱負を立てようとしていたころ、
展示スペースを持つLAMACOFFEEの岡崎氏に、思い立った写真展の話を何気なく切り出した。
「暖かくなったらやりましょう。」漠然と、でも確かな約束をしてくれたことを覚えている。

とは言ってはみたものの、実は以前から「私的な個展」に関しては少々懐疑的な部分があった。
大仰な言い方をすれば、一人の作家が世間に写真を提示する社会的意義が僕の中で見いだせないままでいた。
スポンサー主催の個展を一回行っただけに過ぎない僕には、自分の中でまだ明確なものさしが出来ていないのが現状だった。

スポンサーがいる場合、その利益にさえなれば最低限の社会的意義は達成できた気分になる。
今回はその対象がいない、極めて個人的なもの。自分勝手にはできるが、それが作家の独りよがりにならないだろうか?
私の写真を見てください!感じてください!というだけの提示であれば、単なる自慰行為かもしれない。

それではなぜ「私的な個展」を思い立ったのか。それはただただ、フォトグラファーとしての刷り込み以外にないだろう。
単純にそのうちやらねばならない、やることで成長できる、そして今がそれをするチャンスだ、と思ったからだ。
そろそろやってもいい、という多少の自信もあった。人並みの自己顕示欲は僕にだってある。

その写真の持つ意味や力強さ、展示そのもののテーマによっては人々に感銘を与え、心を豊かにして
帰ってもらえる。それは、決して多くはない僕の写真展の鑑賞経験からでも十分に窺い知ることができた。
例えばビジネスとしてのギャラリーディスプレイでもそれは同じで、目的がシビアな分、如実に数字に現れるはずだ。

できることは現時点の僕に与えられた状態を駆使して、知恵を絞ること。
展示できる何点かのパネルがすでに存在していたことが一番大きな理由だったのだが、
店内の雰囲気とのマッチングを考えた上で、エリトリアの写真を新たに焼き直して組むことにした。

初めて一から自分自身だけで組み立てるイベントは、手探り以外のなにものでもなかった。
与えられたハコのなかに描くのは作家であり、そこでは写真を撮る行為とはまた別の感性が試される。
ディスプレイは前日までもちこされた挙句、最後はノリで出来上がっていった。今回に限って言えばそれが吉と出たとは思う。

開催期間は定休日を除いて11日間。当初は土日祝だけの在廊にして、それ以外は家で仕事をしながら
連絡があれば赴こうと考えていた。それは写真展に於いては常識的な事だと思っていたし、日本にいるからといって、
毎日在廊していては暇なカメラマンと思われるかもしれないという、小さな見栄もあったからだ。

しかしそれは平日にもかかわらず初日にお越しいただいた数名と話をしているうちに、大きな間違いだと言うことに気づいた。
ここに存在して一言でもゲストと言葉を交わすことが、双方にとってどれだけ有意義であるかを感じた僕は、
以後全日程にわたりカフェのオープンからクローズまで在廊し、延べ200人以上の方々と接する事となる。

カフェの常連さん、近所にお住まいの皆さん、取材をうけた朝日新聞を片手におこし頂いた神奈川県在住の方々、
僕が働いていたダイビングショップ、ビッグブルーのお客さんや元同僚たち。本当にたくさんの人々が来てくれた。
期間中には駐日エリトリア国大使もご来場いただいて、相当に皆の興味を惹いていた。

そしていつの間にか出来上がっていた人々のハーモニー。写真展にお集まりいただいている以上、写真の事は
どうでもいいとは言えないが、僕の始めたことがきっかけとなって僕も含めた多くの人々が再会したり、
また新たなつながりが出来たりすることは、写真を見てもらうのと同じぐらい価値のあることだった。

商業的にも一応の成功を収めたとはいえ、僕がおこなったことは、業界的にみるとまだまだ写真を提示する真似事に
過ぎなかったかもしれない。でもあのローカルな湘南の、6畳の小さな空間と一階のカフェがこれほどまでに濃厚な
場所となろうとは想像も出来なかったし、少なくとも今回の「私的な個展」は僕の独りよがりだけでは無かったように思う。

ご来場いただいた皆さんに感謝しつつ、また再びこのような機会を設けることが出来れば幸いである。

※先々週に写真展『THE LATEST LAND IN AFRICA』を無事終了いたしました。
 先週のマリンダイビングフェアの準備と重なりtwitterでのみのご挨拶に終わっていましたが、
 ここであらためて感謝の意を表したいと思います。
 おこしいただいた皆さん、ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。

  1. 2010/04/09(金) 01:27:43|
  2. Eritorea
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Photographer 楠哲也
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タイの小島に6年住んだのちフォトグラファーに転身。タイで培ったダイビングの技術を生かし、帰国後は週刊誌などで水中をテーマにした写真を次々に発表、広告や雑誌の撮影で年間の半分近くを海外取材に費やす。 現在は水陸のスチール撮影にとどまらずタイの国営放送でムービーカメラマンも担当している。
オフィシャルホームページは
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